生命保険の契約者貸付制度

公開日:2021/08/17 / 最終更新日:2021/08/24

終身保険など解約返戻金がある生命保険に加入している人は「契約者貸付制度」を利用してお金を借りることができます。

契約者貸付制度は保険会社からお金を借りられる制度ですが、利用方法など詳細について知らない人もいるでしょう。

当記事では、生命保険の契約者貸付制度を利用する方法、特徴について解説します。

生命保険の契約者貸付制度とは

契約者貸付制度とは、生命保険の解約返戻金の一定範囲以内でお金を借入できる制度です。 利用目的を問われないので、契約者貸付制度で借りたお金は生活費の補填などに使えます。

解約返戻金とは保険契約中に解約した際に戻ってくるお金のことで、貯蓄性のある終身保険や養老保険を契約している人が利用できます。
そして、解約返戻金は契約内容や解約のタイミングによって金額が異なるので、解約返戻金が高額になるプランや保険商品を契約している人ほど契約者貸付制度で多くのお金を借りられます。

なお、解約返戻金は返済不要ですが、契約者貸付制度で借りたお金は保険会社に返済が必要です。そして、返済の際は各保険会社が定めた利息がかかるので、借りたお金よりも多く返済する必要があります。

契約者貸付制度の特徴

契約者貸付制度には下記の特徴があります。

【契約者貸付制度の特徴】

  • 保証を継続しながら利用できる
  • 審査なしで借入できる
  • 最短即日融資に対応
  • 利用限度額は契約内容によって異なる
  • 好きなタイミングで返済できる

次で上記の特徴について解説します。契約者貸付制度の利用を検討している人は、特徴について知っておくといいでしょう。

保証を継続しながら利用できる

生命保険の契約者貸付制度なら保証を継続しながら解約せずにお金を借りることができます。

急にお金が必要になったとき、生命保険を解約して解約返戻金で賄おうと考える人もいるでしょう。生命保険を解約すると下記のようなデメリットがあります。

【生命保険を解約した場合のデメリット】

  • 解約のタイミングによっては解約返戻金が少ない
  • 契約がないため事故や病気の際に保険が下りない
  • 再契約にはリスクが伴う(保険料が割高になる・健康状態によっては契約ができない)

生命保険を解約すると上記のようなリスクがありますが、契約者貸付制度なら生命保険の解約で生じるデメリットを回避してお金を工面できるメリットがあります。

借りたお金と発生した利息の合計額が解約返戻金を超えると保険が失効・解約する

借りたお金と発生した利息の合計額が解約返戻金を超えると、保険が失効・解約されます。
一例として住友生命公式サイトには下記の記載があります。

【住友生命公式サイト】

住友生命未返済
引用元:住友生命公式サイト「よくあるご質問」

住友生命だけではなく、日本生命や第一生命でも「未返済の場合は保険が失効・解約する」という内容が公式サイトに記載されています。

借りたお金と発生した利息の合計額(元利金)が増えていく要因は返済を怠った場合です。返済を怠ると毎年利息が元金に組み込まれていくので元利金が増えていきます。

そのため、生命保険が失効・解約にならないように、返済を怠らない必要があります。
契約者貸付制度を利用する人は毎月一定金額を返済するなど計画的に返済しましょう。

保険金から借入金が差し引かれる場合がある

借入期間中に事故などで保険金が下りるような事態が発生した際、保険金から借入金額分が差し引かれます。

たとえば、1000万円の死亡保険があるなか、契約者貸付制度を利用して500万円借りていたとします。
この場合、支払われる保険金は、保険金1000万円から500万円と利息分を差し引いた金額になります。

一例として、第一生命の「契約者貸付条項」には下記の記載があります。

【第一生命の契約者貸付条項】

9. (貸付金の精算)普通保険約款の規定により、保険金等(給付金、減額返還金等を含みます。)を支払う場合および保険契約(パッケージ契約の場合はパッケージ内契約)が消滅した場合、会社は支払うべき金額から貸付元利金を差し引きます。
引用元:第一生命公式サイト「ご契約者貸付」

また、アフラック生命や太陽生命の契約者貸付条項にも「保険金など、会社は支払うべき金額から貸付元利金を差し引く」との記載があります。

本来支払われるべきだった保険金が減ってしまうと、残された遺族などに生活の困窮を強いる可能性もあります。
そのため、契約者貸付制度を利用する際は、借入する金額を少なめにするなどしましょう。

審査なしでお金を借りられる

生命保険の契約者貸付制度は審査なしで利用できます。

例として、メットライフ生命の公式サイト「契約者貸付サービス」でも「審査はありません」と記載があります。
また、第一生命に電話調査したところ、「契約者貸付は審査なしで利用できる」との回答も得ました。

審査がないため、生命保険を契約している人なら無職や専業主婦など現在収入がない人でも契約者貸付制度を利用できます。
ただし、契約者貸付制度では返済が必要なため、収入がない人は事前に預金などを利用して借りたお金を返済できるか確認するといいでしょう。

最短即日でお金を借りられる

生命保険の契約者貸付制度であれば、条件を満たすことで最短即日で借入ができます。
各保険会社の融資時間を公式サイトで調査し、その結果を下記の表にまとめました。

【保険会社の融資時間】
保険会社 融資時間 備考
第一生命 最短即日 インターネット・電話手続きで平日14時半までに申し込んだら当日中に着金
日本生命 最短即日 平日8時~14時半までに申し込んだら当日中に着金
平日14時31分以降・土日祝日に申し込んだら翌営業日に着金
三井住友生命 最短即日 平日8時~17時半までに申し込んだら当日中に着金
平日17時31分~23時45分・土日祝日に申し込んだら翌営業日に着金
明治安田生命 最短即日 平日14時半までにMYほけんページから申し込んだら当日中に着金

表から分かるように、上記5つの保険会社では平日14時半までに申込手続きを完了させれば最短即日融資が可能です。

利用限度額は契約内容によって異なる

契約者貸付制度の利用限度額は契約内容によって異なります。加えて、各保険会社も公式サイトで利用限度額を開示していません。
その代わり、保険会社は利用限度額を確認する方法として、「会員サイトや担当者への電話によって確認してほしい」と奨励しています。

そのため、契約者貸付制度の利用限度額を知りたい人は、自身が契約している保険会社の会員サイトや担当者に電話をして確認しましょう。

なお、第一生命は公式サイトで利用限度額を公開しています。第一生命を利用している人は下記から利用限度額を確認してみるといいでしょう。

第一生命公式サイト「契約者貸付限度額」

好きなタイミングで返済できる

住宅ローンや自動車ローンなら毎月決まった金額を返済していきますが、生命保険の契約者貸付制度ではいつでも返済できます。
実際に第一生命の「契約者貸付条項」には下記の内容が記載されています。

【第一生命の返済期日】

4. (貸付金の返済)保険契約者は、いつでも貸付元利金の全部または一部を返済することができます。この場合、1年未満の期間に対する利息は、年365日の日割で計算します。
引用元:第一生命公式サイト「契約者貸付条項」

また、メットライフ生命やアクサ生命でも「返済期限はなく、いつでも返済可能」という内容が公式サイトに記載されています。

いつでも返済できるので、「毎月一定額を返済する」「まとまったお金がはいったときに一括返済する」など、家計の状況に合わせて返済できます。

ただし、いつでも返済できるからといって返済を先延ばしにすると利息が増えて返済額が増えていくので注意が必要です。
そのため、契約者貸付を利用する人は、「毎月返済する」「借りる金額を少なくする」など計画的に利用しましょう。

契約者貸付制度の金利

保険会社の契約者貸付制度の金利は下記の通りです。借りる金額が同じであっても金利が高くなるほど保険会社に支払う利息も高くなるので注意が必要です。

【保険会社の金利】
保険会社 金利
日本生命 年3.75%
第一生命 年3.00%
明治安田生命 年2.15%
住友生命 年1.55%
かんぽ生命 年 2.50%~年 2.562500%

※記載されている金利は2021年7月28日時点のもの

上記に記載されている生命保険会社の契約者貸付の金利は2%~3%前後です。

ただし、契約者貸付を利用する時期や、契約している保険によって金利が異なる場合があるので、必ずしも表の金利が適用されるわけではありません。
そのため、契約者貸付の利用を検討している人は事前に契約している保険会社の金利を確認しておくといいでしょう。

参考情報
日本生命公式サイト「契約者貸付を利用したい」
第一生命公式サイト「よくあるご質問(FAQ)」
明治安田生命公式サイト「契約者貸付の貸付利率は何%ですか?」
住友生命「生命保険契約に関する 積立利率等・約款貸付の利率のお知らせ」
かんぽ生命「簡易生命保険契約の契約者貸付利率について」

複利計算なので返済額が増えやすい

多くの契約者貸付は複利計算のため、返済しないと未返済分の利息が毎年元金に組み込まれ、元金と利息の合計額(元利金)が年々増えていきます。

そして翌年の元利金に対して利息が計算されるので、未返済が続くと雪だるま式で返済額が増えていきます。
年3%の金利で100万円借りた場合、複利と単利で3年後の返済額の違いを下記にまとめました。
複利
単利

図から分かるように、複利では3年後の返済額は1,101,070円で、単利では1,090,000円です。複利は単利より11,070円も返済額が多い結果となりました。

複利計算だと返済しない年数が増えていくほど利息が増えていくので、利息と元金を合わせた合計額が解約返戻金を超えやすくなる点に注意が必要です。

元利金が解約返戻金を超えると保険が失効・解約してしまうので、契約者貸付を利用する場合は毎月一定の金額を返済するなど計画的な返済をしましょう。

契約者貸付制度を利用できる保険の条件

契約者貸付を利用できる保険は解約返戻金のある保険のみで、かけ捨て型の医療保険やガン保険などにはありません。

【契約者貸付ができる主要な生命保険】

  • 終身保険
  • 養老保険
  • 個人年金保険

上記以外の生命保険を契約していて、契約者貸付制度の有無が気になる人は、契約している保険会社の会員ページや担当者に確認してみるといいでしょう。
なお、契約者貸付は契約者本人しか利用できず、被保険者の妻、保険金受取人の子供が利用するといったことはできないので覚えておきましょう。

契約者貸付制度を利用するために必要なもの

契約者貸付を利用する際に必要なものは保険会社や手続き方法によって異なります。

たとえば、第一生命のインターネット手続きでは「登録している送金指定口座 or 保険料振込口座の口座番号」が必要で、電話手続きの場合は「証券番号」が必要です。

太陽生命では電話手続きの際に「請求書」「印鑑」「公的証明書の写し」などが必要です。

このように、保険会社や手続き方法によって必要なものが異なるので、契約者貸付を利用する場合は自身が契約している保険会社の公式サイトで必要なものを確認しましょう。

契約者貸付制度を使ってお金を借りる方法

契約者貸付制度でお金を借りる流れは下記の通りです。

【契約者貸付制度で借入する流れ】

  1. 申し込み
  2. 振込み

基本的にはインターネットや電話で契約者貸付制度の利用を申し込み、保険会社が手続きを完了したら、銀行口座にお金が振り込まれます。

ただし、保険会社によって手続き方法や借入方法が異なるので、次で確認しましょう。

契約者貸付制度の申込手続き

基本的に、契約者貸付制度の手続き方法はインターネット、電話、店舗窓口などです。
各社の手続き方法を公式サイトで調査して、下記の表にまとめたので確認してみましょう。

【保険会社の手続き方法】
保険会社 手続き方法 受付時間の確認先
第一生命 インターネット
電話
店舗窓口

受付時間の詳細
日本生命 日本生命アプリ
インターネット
電話
受付時間の詳細
三井住友生命 インターネット
電話
店舗窓口
受付時間の詳細
明治安田生命 インターネット
電話
店舗窓口
受付時間の詳細

保険会社の契約者貸付を申し込む方法は、主にインターネット、電話、店頭窓口です。

また、第一生命や明治安田生命は問い合わせ窓口として「保険を契約した際の担当者」と公表しているので、申し込み前に担当者に相談することも可能です。
もし、契約者貸付制度について相談したいことがあれば、名刺に記載されている電話番号から担当者に電話をかけて相談するのもいいでしょう。

なお、会社や申し込み方法によって、受付時間が異なります。そのため、契約者貸付を利用する際には自身が契約している保険会社の受付時間を確認するといいでしょう。

契約者貸付制度の借入方法

契約者貸付制度に申し込んで所定の手続きが完了したあと、指定口座にお金が振り込まれます。
実際にメットライフ生命で電話手続きをした場合「保険料の振替口座」、アプリ手続きをした場合「保険料の振替口座・任意の金融機関口座」に振り込まれます。
日本生命も「登録した取引口座に着金する」といった内容が記載されています。

ちなみに、店頭窓口では現金を受けとることができない場合があります。
実際に住友生命の公式サイトには「来店窓口での現金の取り扱いは行っていない」といった内容が記載されています。

そのため、基本的にお金は口座に振り込まれるということを覚えておきましょう。

参考情報:メットライフ生命公式サイト「よくある質問」

契約者貸付制度の返済方法

契約者貸付制度の返済方法は基本的には下記の4つの方法が用意されています。

【返済方法】

  • 電話
  • 店舗窓口
  • ATM
  • インターネット

ただし、生命保険会社によって返済方法が異なるので自身が契約している保険会社の返済方法を確認しておく必要があります。
主要な生命保険会社の返済方法を表にまとめたので確認してみてください。

【契約者貸付制度の返済方法】
保険会社 返済方法 備考
明治安田 ・インターネット
・ATM
・振込用紙
・店舗窓口
事前に担当者またはコミュニケーションセンターに連絡して支払い方法を決める
住友生命 ・インターネット
・コンビニエンスストア
・銀行窓口
・ゆうちょ銀行(郵便局)
第一生命 ・電話
・店舗窓口
・ATM(第一生命ATMまたはゆうちょ銀行ATM)
・インターネット
ATM返済を利用するには第一生命カードが必要
メットライフ生命 ・振込用紙 事前にカスタマーセンターに連絡が必要
日本生命 ・インターネット インターネットバンキングは「みずほ銀行・三井住友・三菱UFJ銀行・ゆうちょ銀行・ジャパンネット銀行」が対応

たとえば、明治安田生命やメットライフ生命では事前に担当者やコールセンターに電話する必要があります。
また、第一生命では第一生命カードがないとATM返済ができません。

このように、返済方法が異なるほかに、返済方法に所定の条件を設けている保険会社もあるので、返済時は自身が契約している保険会社の返済方法について確認が必要です。