ゆうちょ銀行の「貯金担保自動貸付」とは、担保定額貯金・担保定期貯金を担保にすることにより、審査なしで貸付を受けることができます。
ゆうちょの通常貯金の預金残高よりも、多くのお金を引き出す際に、その差額分が自動貸付金として処理されます。ただし、貯金担保自動貸付を利用するには担保となる担保定額貯金、または担保定期貯金の残高が必要であり、貸付金額も残高に応じて制限されます。
貯金担保自動貸付とは定額・定期預金を担保にお金を借りる方法
貯金担保自動貸付とは、総合口座で管理する担保定額貯金・担保定期貯金を担保にして、貸付を受ける方法です。ゆうちょ銀行の総合口座とは、通常の貯金や定期・定額貯金などを管理できる口座のことをさします。
前提として押さえておきたいのは、「ゆうちょの貯金担保自動貸付を利用するには、担保定額・担保定期貯金で預金をしている必要がある」ということです。
ゆうちょの通帳や通常の定期・定額貯金しか持っていない人は、貯金担保自動貸付を利用できません。
貸付金額の上限 |
預入金額の90%以内 ※総合講座通帳1冊につき300万円まで |
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貸付期間 | 貸付日から2年(貸付日から2年以内に担保とする貯金が満期を迎える場合は、その満期までの期間)※ |
貸付の方法・回数 |
・通常貯金の残高を超える払戻しがあったときに、その不足分が自動的に貸し付けられる ・貸付回数は制限なし |
返済の方法・回数 |
・借りた金額と利息の合計を通常貯金に預入することで自動的に返済される ・貸付期間内であれば、返済回数や1回あたりの返済額に制限なし |
貸付金利 |
・担保定額貯金を担保とする場合 返済時の約定金利(%)+0.25% ・担保定期貯金を担保とする場合 預入時の約定金利(%)+0.5% |
利息の計算 | 1年を365日とする日割り計算 |
※元利金継続(継続預入)の担保定期貯金を担保とする場合は、貸付期間の範囲内で貸付も継続されます
参照元:ゆうちょ銀行「貯金担保自動貸付け−ゆうちょ銀行」
貯金担保自動貸付で借りられる金額の上限は貯金額 の90%です。たとえば、20万円の貯金がある場合、借りられるのは最大18万円になります。
貯金額によっては必要な金額を借りられないことも考えられるので、貯金額を確認したうえで、借入できる金額を把握しておくようにしましょう。
財形貯蓄や国債を担保とする自動貸付は新規受付を終了している
ゆうちょ銀行では、以前まで貯金担保自動貸付以外に、財政形成貯金貸付や国際担保等貸付という自動貸付のサービスを提供していました。ただし、両者とも2019年3月29日を持って新規申込の受付を停止しています。
2019年3月29日をもちまして、新規のお申し込みの受け付けを終了しました。
なお、2019年3月29日時点でご利用中の担保貸付けについては、返済期限日の変更はありません。
引用元:ゆうちょ銀行「財産形成貯金担保貸付け(新規受付終了)−ゆうちょ銀行」
2019 年3月29日をもちまして、新規お申し込みの受け付けを終了しました。2019年3月29日時点で担保自動貸付けをご利用中のお客さまは、2020年3月31日まで貸付けを受けることができます。また、2020年3月31日時点でご利用中の担保貸付けについては、返済期限日の変更はありません。
引用元:ゆうちょ銀行「国債等担保貸付け-ゆうちょ銀行」
そのため、現在ゆうちょ銀行で担保をもとにお金を借りる方法は、貯金担保自動貸付のみであると把握しておきましょう。
貯金担保自動貸付でゆうちょ銀行からお金を借りる流れ
貯金担保自動貸付でお金を借りるには、申し込みの手続きを済ませる必要があります。手続きが完了すれば、当日中にお金を借りられます。
申し込みからお金を借りるまでの流れは、下記を参考にしてください。
申込時には手続きに総合口座通帳やお届け印、本人確認書類が必要になります。そのため、申し込みの際は必要なものを持参して窓口に来店するようにしましょう。
ここからは、貯金担保自動貸付を申し込む際の持ち物や必要書類、借入方法について詳しく紹介していきます。
ゆうちょ銀行または郵便局の窓口から申し込み
貯金担保自動貸付を利用するには、ゆうちょ銀行または郵便局の窓口から申し込む必要があります。ゆうちょ銀行には「ゆうちょダイレクト」というインターネット上でさまざまな手続きを行なえるサービスもありますが、貯金担保自動貸付の申し込みは対象外です。
窓口で申し込む際は、下記の点を確認しておきましょう。
- 郵便局の窓口またはゆうちょ銀行の窓口で申し込む
- 窓口の営業時間は平日9時〜16時に限られている
ゆうちょ銀行や郵便局の店舗は、日本郵政グループ「郵便局・ATMをさがす 」から最寄りの店舗を検索できます。利用する店舗を確認したうえで、ゆうちょ銀行・郵便局窓口の営業時間である平日の9時〜16時の間に来店するようにしましょう。
申込時に必要なもの
貯金担保自動貸付の申し込みをする際は、忘れずに下記のものを持参するようにしましょう。
- 総合口座通帳
- お届け印(※)
- 本人確認書類
※口座を作ったときに使用した印鑑のこと
参照元:ゆうちょ銀行「貯金担保自動貸付け−ゆうちょ銀行」
本人確認書類は、現住所や名前、生年月日が記載された公的書類かつ有効期限内のものに限られます。具体的には、下記のような顔写真付きの公的書類です。
- 運転免許証
- 運転経歴証明書
- マイナンバーカード
- 旅券(パスポート)・乗員手帳
- 在留カード
- 療育手帳
- 戦傷病者手帳
- 精神障害者保健福祉手帳
- 身体障害者手帳
※2020年2月4日以降に発給申請を受けたパスポートには所持人記入欄 がないことから、お名前の表記の確認のため、漢字の証明のあるパスポートの提出が必要です。
参照元:ゆうちょ銀行「本人確認書類一覧-ゆうちょ銀行」
上記に記載したような顔写真付きの本人確認書類がない場合は、ゆうちょ銀行の公式サイトに記載してある通り、各種保険証と現住所の記載のある公共料金の領収書などを提出するなどして対応しましょう。
ゆうちょ銀行のATMまたは窓口で借入
貯金担保自動貸付の申込手続きが完了すれば、あとはゆうちょ銀行のATMまたは窓口で借入できます。ATMからお金を引き出す場合は、通帳やキャッシュカードを使って通常貯金からお金を引き出すことで借りられます。
貯金担保自動貸付を利用して借入をすると、通帳には借りた金額がマイナスで表記されます。「借りた金額がマイナスで表記される」という点について、具体的に説明していきましょう。
たとえば貯金額が5万円あるとします。預金額が5万円の状態から貯金担保自動貸付を利用して10万円引き出すと、「5万円−10万円=−5万円」となり、通帳にも「−5万円」と記帳されるのです。
つまり、通帳にマイナス表記で記帳された金額が、ゆうちょ銀行から借りた金額になります。ゆうちょからお金を借りる際は、口座から簡単にお金を引き出せてしまうため、借り過ぎを防ぐためにも、こまめに記帳して借りた金額を把握しておくようにしましょう。
貯金担保自動貸付で借りたお金は2年以内に完済する
貯金担保自動貸付でお金を借りたあとは、2年以内に必要な金額を通常貯金に入金して、完済する必要があります。返済期間内であれば、返済回数や一回あたりの返済額に決まりはありません。つまり、借りた翌日に返済しても良いですし、翌月に返済しても問題ないのです。
なお、実際に借りた金額だけを返しても借金を完済したことにならないので、発生した利息分も忘れずに返済する必要があります。 完済に必要な金額は「実際に借りた金額+発生した利息額」です。
貯金担保自動貸付で発生する利息は「借りた金額×金利÷365×借入日数」の計算式で算出できます。貯金担保自動貸付の金利は下記の通りです。
担保の種類 | 金利 |
---|---|
担保定額貯金を担保とする場合 | 0.25% |
担保定期貯金を担保とする場合 | 0.50% |
参照元:ゆうちょ銀行「貯金担保自動貸付け−ゆうちょ銀行」「金利一覧-ゆうちょ銀行」
貯金担保自動貸付は、担保の種類によって金利が異なります。では、実際にそれぞれの金利を適用して利息を計算してみましょう。
20万円を借り、返済期間を6ヶ月・12ヶ月とした場合の利息額は下記の通りです。
担保の種類 | 返済期間6ヶ月(180日) | 返済期間12ヶ月(365日 ) |
---|---|---|
担保定額貯金を担保とする場合 | 約248円 | 約504円 |
担保定期貯金を担保とする場合 | 約495円 | 約1,004円 |
※実際の金額とは異なる場合があります、目安としてお考えください。
シミュレーション結果からわかる通り、貯金担保自動貸付の利息は数百円程度の端数として生じるため、正確な利息を計算するのがむずかしい場合があります。
そのため、借りたお金を完済する場合は、総合口座手帳を持参して返済額を確認し、端数まで完済できるようにしましょう。
返済期間をすぎると担保にした貯金が払い戻される
貯金担保自動貸付の返済期間である2年を経過しても完済できなかった場合、担保とされた定額・定期貯金が解約となり、払い戻しされます。
払い戻されお金は借金の返済にあてられ、残額が総合口座の通常貯金に預け入れられます。
貸付金額および貸付利子が貸付期間内に返済されない場合は、担保とされた貯金を払い戻し、その払戻金を貸付に係る返済に充て、残額を総合口座の通常貯金に預入します。
引用元:ゆうちょ銀行「貯金担保自動貸付け−ゆうちょ銀行」
返済期間を過ぎても完済しなければ担保とされた定額・定期貯金が解約となる恐れがあるため、貸付日は忘れず、なるべくはやく返済するようにしましょう。
「貯金担保自動貸付」以外でゆうちょ銀行からお金を借りる方法
貯金担保自動貸付を利用するには担保とする貯金が必要なため、利用できない人もいるでしょう。ただし、ゆうちょ銀行でお金を借りる方法は貯金担保自動貸付だけではありません。
たとえば、「JP BANKカードのキャッシング」を利用すればゆうちょ銀行からお金を借りられます。JP BANKカードとは、ゆうちょ銀行のクレジットカードのことです。
お金を借りられる機能であるキャッシング枠が付帯したJP BANKカードを持っていれば、キャッシング枠の利用限度額内でお金を借りられます。
ただし、JP BANKカードを持っていない場合は、新規の申し込みとなるため、申込条件を確認したうえで所定の手続きを行なったり審査に通過したりする必要があります。
JP BANKカードの商品詳細が気になる人は、ゆうちょ銀行公式サイトの「クレジットカード(JP BANK カード) 」にクレジットカードの詳細や申込条件などが記載されているので確認してみてもよいでしょう。
カードローン「したく」は2018年10月末に新規受付を終了した
ゆうちょでお金を借りる際、以前まではゆうちょ銀行カードローン「したく」を利用する方法もありました。しかし、業務提携を結んでいたスルガ銀行に行政処分が下されたことを受け、ゆうちょ銀行はカードローン事業のサービスを終了しています。
カードローン「したく」は、2018年10月31日をもちまして新規受付を終了させていただきました。
すでに当商品をご契約いただいているお客さまにつきましては、今後もご利用いただけます。
引用元:スルガ銀行「商品・サービス|スルガ銀行 個人専用支店」
ゆうちょ銀行はカードローン商品を提供していません。そのため、インターネット上でゆうちょ銀行のカードローンに関する記載を見つけたとしても、現在は利用できない商品であると覚えておきましょう。
FP監修者プロフィール
人物 | |
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氏名 | 飯田 道子 |
保有資格 | ファイナンシャル・プランナー(CFP認定者) 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 証券外務員Ⅱ種 宅地建物取引士合格者 |
プロフィール | 金融機関での勤務を経て、1996年にファイナンシャル・プランナー(CFP認定者)の資格を取得。 現在はどの金融機関にも属さない独立系ファイナンシャル・プランナーとして、お金に関する各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなう。各種ローンやライフプランニングなどの範囲を担当する。 |