怖い話をしていると霊が寄ってくる

怪を至れば怪至ると言って、怖い話をしていると霊が寄ってくるのだそうです。百話語ると恐ろしいことがあるとされる百物語などは、この法則にのっとって行われているのでしょう。では語らなければいいのかというと、どうも読んでいるだけでも寄ってくるのではないか、と思った経験がありました。大学生の頃、学生マンションで一人暮らしをしていた時のことです。

その日、古本屋で実話怪談本を見つけました。以前から読みたかったのですが、価格の高い単行本しか出ていなかったため、なかなか買う決心がつかずにいたのです。古本とはいえかなり状態はよく、きれいなものでした。価格を見ると105円。喜び勇んでレジへ持っていったものです。

一人暮らしの部屋に帰ると、ベッドの上でさっそく本を読み始めました。帰宅したのが確か午後六時くらい。そこそこ暗くなりつつあったことを覚えています。本は期待以上に面白く、ついつい夕食も食べずに読みふけってしまいました。

気が付くと、午後の十時を過ぎていました。本はいよいよ終盤にさしかかり、本日最恐のシーンがまさに展開されようというところ。その時、部屋の固定電話が鳴ったのです。
その固定電話は、学生マンションに備え付けのものでした。オートロックのインターホンも兼ねているものですが、時刻は前述のとおり夜十時過ぎ。宅配便などが届く時間でもありませんし、約束なしで急に訪ねてくるような人も思い当りません。友人などは携帯電話に連絡してくるので、おそらくこの電話は実家からだろうと推測しました。電話は鳴っているものの、本は一番いいところです。ここで一旦やめてしまっては興ざめというもの。かけてきた人(おそらく母親)には悪いけれど、無視することにしました。ベッドの上にとどまり、本を読み続けていると、何度か鳴ってから電話は静かになりました。

十数分後、本を読み終えたので実家に電話をかけました。先ほどの電話はやはり母親でしたが、こんな文句を言われました。
「さっきは黙って切っちゃうんだもの……」
放っておいたことへの苦情とは、ちょっと違うのです。切ったってどういうこと?と尋ねると、こんな答えが返ってきました。

母が電話をかけると、何度かコール音がしたのち誰かが電話に出たのですが、何も言わずに切られてしまったというのです。こちらで固定電話の受話器を取り、置いた人がいる、ということです。

私は電話に触ってもいませんし、ベッドからは固定電話に手が届きません。一人暮らしですから、部屋の中には他に誰もいませんでした。
「電話、取ってないよ」
「えー。取ったじゃない」
かみ合わないままに電話を切りました。こんな不具合は、今まで一度も起こったことがありませんでした。
ベッドの上には、読み終えたばかりの本が置いてありました。ちょうどこの本を読んでいた時、奇妙な現象が起こっている……ものがものだけに、因果関係があるような気がして仕方がありません。

怖い話は好きなくせに、そう思うと気味が悪くてたまらないのです。これから一晩この本が部屋の中にあるかと思うと怖いのです。
そこで値札を剥がし、深夜まで営業している別の古本屋に持っていきました。100円で売れました。

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