CATEGORY 小説・文芸

甲賀忍法帖 山田風太郎

山田風太郎氏のいわゆる「忍法帖」シリーズの第一作目です。深く考えずに読めるアクションもので、ストーリーも面白く、読みやすい作品です。どうなるの?とページをめくっているうちに終わってしまう、優れたエンターテイメントだと思い…

孤島の鬼 江戸川乱歩

江戸川乱歩は非常に著名な作家で、名前を聞いたこともない、という方は少ないでしょう。また乱歩といえばやはり、明智小五郎や少年探偵団シリーズ、また『天井裏の散歩者』や『人間椅子』などの短編を思い浮かべる方が多いのではないかと…

阪急電車 有川浩

図書館戦争で有名な有川浩の作品です。 阪急電車。近畿圏内の方しかご存知のないローカルな電車だと思います。そこで繰り広げられる日常を電車の線路、駅になぞりながら一カット切り抜いた作品になっています。 一カットと言っても様々…

総統の子ら 皆川博子

アドルフ・ヒトラーという名は、おそらくこの先ずっと歴史上に残るでしょう。 「独裁者」の代名詞的存在として、「悪魔」の代名詞的存在として。そして、彼が作り出したものすべては、否定され、嫌忌される運命にあります。 『総統の子…

夫婦善哉 織田作之助

時代は大正から昭和にかけての大阪です。しっかりものの蝶子は貧乏な天ぷら屋の娘として生まれました。17歳で芸者になり明るくお転婆な性格から大変人気のある芸者になりました。そこに安化粧問屋の若旦那で妻子持ちの維康柳吉が現れて…

僕とおじいちゃんと魔法の塔 香月日輪

小学6年生の主人公陣内 龍神(じんない たつみ)は、家族をしっかりと引っ張る子供たちの憧れの父と、それに寄り添う美人で優しく笑顔を絶やさない母、優秀な弟に勝気でスポーツ万能で活発な妹と暮らしています。龍神本人は、通知表に…

バベットの晩餐会 イサクディーネセン

小説、バベットの晩餐会を読んでみました。この本は、19世紀後半の外国の小さな素朴な町が舞台です。敬虔なクリスチャンの中年姉妹と、訳ありの女性バベットが中心となって物語が綴られていきます。これだけだと「え…それはずいぶんと…

この世でいちばん大事な「カネ」の話 西原理恵子

これは、漫画家の西原理恵子さんが、お金にまつわる自らの経験をもとに、「お金」と「働くこと」に関して語ったベストセラーです。お金を稼げば自由を手に入れられるというというようなことが、様々な体験をもとにかかれています。 お金…

キウイγは時計仕掛け

森博嗣さんという元国立大学理系学部の准教授だった方が書かれたミステリー小説です。この本から突然読んでも十分に楽しめるとは思いますが、やはりS&Mシリーズの「すべてがFになる」から読むと、さらにこの小説が楽しめる…

アルジャーノンに花束を ダニエル・キイス

いまさら私が紹介するまでもないことですが、『アルジャーノンに花束を』は名作です。それも、多分どんな世代の人でも共感できる名作なのではないかと、私は思っています。 主人公はチャーリィという知的障害者。パン屋で働いているチャ…

小さいおうち 中島京子

先に映画をみたあとに、色々出てきた疑問を解消するべく原作本をよむことにしました。昭和初期の戦前~戦後直後までのとある東京郊外 にある「赤い屋根の小さいおうち」での生活が、当時女中をしていたタキばあちゃんの回顧録として明か…

十角館の殺人 綾辻行人

普段からよく推理小説を読むのですが、次に何の本を読もうかと考えているときに ふと目にとまったのがこの「十角館の殺人」でした。 ネットなどで評判を調べると「衝撃の1行」という言葉が多く目に入り、 そんなに衝撃なのかと若干の…

死神の精度 伊坂幸太郎

この話は死神が人間界にやってきて、何かで死ぬべき人の候補となった人についてまわり、最終的に死ぬべき人間かどうかを報告して、もしも死ぬべきだと判定されれば死ぬところを確認するという話です。死神が候補者をついてまわる間に様々…

三匹のおっさん 有川浩

タイトルの通り三人のおっさんが主人公の物語です。 しかも三人とも還暦過ぎ。還暦過ぎのおっさんが主人公と聞くと地味な内容なのか?と思いがちですが実際は真逆です。 おっさんたちが町内を駆け巡り町の平和を脅かす悪人を独自にやっ…

空の中 有川浩

最近読んだ中で、有川浩の初期の作品、自衛隊三部作と呼ばれている中の一冊、「空の中」が楽しめました。 SFのジャンルとして言えば、未知の生物とのファースト・コンタクトものということになるのでしょうか。「白鯨」と呼ばれること…

憧れの女の子 朝比奈あすか

表題作含む短編五編が入っている小説です。 文章はかなり今時風で、女の人ならとても共感ができそうな文体ですが、 逆に男の人には何のことを言っているのかわからないような単語も多いかもしれないと思いました。 表題の『憧れの女の…

峠 司馬遼太郎

日本の歴史の中で幕末と言われた時代に、越後長岡藩という雪深い田舎から、江戸へ遊学に出る河井継之助という若者は、 後に門閥を超えて家老となって、薩摩と長州の連合軍である官軍に徹底抗戦して、多大な犠牲を払います。 彼の若き日…

毒猿 新宿鮫Ⅱ 大沢在昌

この「毒猿」は、超エリートのキャリア組警察官だった鮫島が、公安内部の闘争に巻き込まれて出世コースから外れ、新宿でヤクザにもっとも恐れられる警察官として活躍する姿を描いた新宿鮫シリーズの二作目です。一作目もそれなりに面白か…

メイン・ディッシュ 北森鴻

アンソロジーに収録されていた「バッドテイストトレイン」を読了した後に本書「メイン・ディッシュ」の存在を知り、連作短編である点にも興味を惹かれた為に本書を読み始める事にしました。 先述の通り本書は十一のストーリーによる連作…

マリアビートル 伊坂幸太郎

伊坂幸太郎のエンターテイメント娯楽小説「マリアビートル」は、前作の「グラスホッパー」の続編となっていますが、 前作を読んでいなくても問題なく、十二分に楽しめる作品です。  前作も非常に面白い小説でしたので、本屋の店頭で「…

ステップファザー・ステップ 宮部みゆき

最初は有名作家の宮部みゆきさんの作品とは知らず、表紙の裏に書かれてあるあらすじに惹かれて、面白そうだから買ってみようと、そんな気軽な気持ちで手にした本でした。 内容は中学生の双子の隣の家に泥棒に入った男が、不運にも落ちて…

下流の宴 林真理子

実はこんなに有名な林真理子の本を読むのは初めてでした、アイルランド在住の私の所に夏休みを利用して遊びに来た友達が持ってきてくれました。これまさに私達が今読むべき本だよ。私が帰国してからゆっくり読んでね、と言われました。 …

ぼくのメジャースプーン 辻村深月

これは私の一番大切な本です。 簡単に、好きな本、と言ってしまうにはテーマが重くて、考えさせられるストーリーです。 でも、主人公が小学校4年生ということもあり、文章自体は平易で読み進めやすいと思います。 深く考えさせられ、…

ヘヴン 川上未映子

「ヘヴン」は川上未映子の長編小説で、いじめの問題を取り扱った作品です。 ヘヴンにおける主人公は14歳の男の子で、斜視が原因で日頃から「ロンパリ」と呼ばれいじめを受けています。その主人公を視点にして物語は展開されます。 主…

ブレイブ・ストーリー 宮部みゆき

宮部みゆきさんといえば有名なミステリー作家ですが、 そんな宮部氏がファンタジーのジャンルとして書かれたものがこのブレイブ・ストーリーです。 氏はもともとゲーム、特にRPGのジャンルが好きなことで有名ですが、 そのゲーム好…

名前探しの放課後 辻村深月

主人公の高校生・依田いつかは、ある日突然未来の記憶を持ったまま過去へと戻されます。 その記憶の中では同級生が自殺します。 でも、その同級生が誰だかが思い出せないいつかは、仲間を作って自殺を食い止めようとするストリーです。…

眠れぬ真珠 石田衣良

この小説は、また恋する気持ちを味わいたい 女性としていつまでも輝いていたい そんな女性におすすめです。 主なあらすじとしては キャリアを積んだ、しかもクリエイティブでスタイリッシュな40代の女性が 大人の女としての楽しみ…

彼女を殺すのに一票投じます Team-J

この作品は今後導入される可能性もある「テレビ裁判」が導入された近未来の日本がテーマとなっています。 テレビ裁判は、文字通りテレビで裁判が全国中継され、中継を見た一般人がリモコンにて有罪か無罪かを投票します。 テレビ裁判で…

冷たい方程式 トム・ゴドウィン

宇宙に人類が進出した未来のSF小説です。 まだ開発されていない辺境の惑星で非常事態―急病や事故等が起こった時に、必要なワクチン、薬、道具などを運ぶ高速の一人乗りの緊急宇宙船。その船には、必要なものしか載せる事ができない。…

スプートニクの恋人 村上春樹

まず、この「スプートニクの恋人」という物語は、語り手の「ぼく」と、「ぼく」が思いを寄せる小説家志望のすみれという女性、そしてすみれが思いを寄せるミュウという中年女性といった三人の人物が主体となって構成されています。 そし…

ハニービターハニー 加藤千恵

「ほんとの恋よりドキドキするかも」まさにその帯の言葉通りの作品でした。 ごくごく普通のラブストーリーかと思っていましたが、友人の彼との浮気や学生時代の友人との恋、一夜の過ち、どれも甘いというよりは苦く切ないラブストーリー…

ちいさなあなたへ アリスン・マギー

「ちいさなあなたへ」、この本は私が遠くに引越しをするに当たり、お友達のママ友がくれました。 私が少し前に女の子を出産をしていたこともあり、この題名と内容の本をくれたのだと思います。 ひらがなばかりでとても読みやすい絵本で…

くっすん大黒 町田康

『くっすん大黒』は現在は高名な純文学作家として活躍する町田康の処女小説です。そもそも『くっすん大黒』はある文学新人賞の最終候補になったものの落選したところを 作家・筒井康隆によって見いだされ激賞されることで注目を浴びるこ…

ガープの世界 ジョン・アーヴィング

1978年に出版されたとは思えないほど、内容は現代的というか、古びてないテーマです。 フェミニズムなんて言葉は、今時もう死語ですが、この言葉がマスコミに取り上げられ始めた頃を背景としています。 期せずして、フェミニズムの…

姑獲鳥の夏 京極夏彦

姑獲鳥の夏は、カテゴリーとしてはサスペンス小説になります。 舞台は戦後数年後。病弱な女性、涼子が関口という小説家に、「自分の身の回りで何か恐い事が怒っている、助けてほしい」と頼むところから物語が始まります。 涼子の家は、…

あぐり95年の奇跡 吉行あぐり

日本で「あぐりさん」と訊けば、「1997年の、NHK朝の連続テレビ小説のあぐりさん」と誰しもが連想する程、吉行あぐりの 名前は全国で知らない人がいない位の有名人です。97年以降に出生した、今時の若者はご存じない方が大半を…

アキハバラ@DEEP 石田衣良

読後の爽快感が最高です。石田衣良作品はどれも好きですが、この作品「アキハバラ@DEEP」はその中でもお気に入りの物語です。昔実家にあったものを読みましたが、久しぶりに無性に読みたくなり、購入。以前の感動が鮮明によみがえっ…

悪の教典 貴志祐介

悪の教典は、とある私立高校に赴任してきた英語教師が、文化祭の前夜自分が受け持つクラスの生徒を次々と手にかけていくストーリーです。 強烈なシーンの描写が数多く出てきて、「サイコホラー」のジャンルを初めて読む人にはきついかも…

神様のカルテ 夏川草介

ここ最近で面白かった本といえば神様のカルテでしょう。 1,2,3と3冊発売されていまして、2冊目まで読みました。 主人公は医者で信州松本にある総合病院に勤めています。一風変わった人物で喋り方も古風でとてもユニーク、この主…

昨日のカレー、明日のパン 木皿泉

この本「昨日のカレー、明日のパン」は「木皿泉」のペンネームで執筆している日本の脚本家二人が紡ぐ何気ない日常にある幸せやユーモアを描いたものです。 簡単なあらすじは、一つ屋根の下で暮らす奇妙な関係?の二人。 テツコは7年前…

五匹の子豚 アガサ・クリスティー

名探偵ポワロの推理物です。 自分で購入し、一気に読んでしまいました。 ありがちな推理物ではなく、人間ドラマが描かれているのが良いです。 事件の依頼者は、カーラ・ルマルションという若い女性。 子供の頃、両親を亡くし、叔父夫…

ホテル・ニューハンプシャー ジョン・アーヴィング

1930年代のアメリカの夏、メイン州のアーバスノット・バイ・ザ・シーで19歳の男女が出会い恋に落ちることから始まる文庫本上下2冊の長編小説です。 このカップルの次男ジョンによって語られる家族に襲い来る数々の苦難とささやか…

ノルウェイの森 村上春樹

この小説は主人公の男性の揺れる自意識や喪失などが描かれています。 ストーリーとしては恋人が精神病棟に入院してしまい、それによって関係性が危うくなり、また出会う別の女性との繋がりなどを通して主人公が自我や自意識の揺れに戸惑…

わくらば日記 朱川湊人

わくらばとは、病気の葉と若い葉という意味がそれぞれあるらしく、主人公は若い葉のほうの和歌子です。和歌子が慕う病弱な姉が鈴音なんですが、この鈴音には不思議は力があり、過去にあった人や物が見えるという能力を使い、事件を解決に…

BRAIN VALLEY 瀬名秀明

瀬名秀明のSF小説「BRAIN VALLEY」上下巻を読んでの感想ですが、まず瀬名秀明さんの小説には素人には難解な専門用語が多数出てきます。 「BRAIN VALLEY」は脳科学をテーマにしている小説なのですが、とにかく…

深い河 遠藤周作

深い河は1994年に毎日芸術賞を受賞した、作者遠藤周作の晩年の代表作です。 妻を失った男を始めとして、5人の過去をに囚われていている男女が各章ごとに登場します。 オムニバスのように物語は始まります。やがて彼らは、インドへ…

ヒトリシズカ 誉田哲也

一人の女性の一生と、彼女の周辺でおこる事件を書いた連作短編です。 作者の誉田哲也さんは、姫川シリーズで有名になった作家ですが、男性なのに、女性の心情を表すのが本当に上手な作家だと思います。 様々な事件が起きる中、なぜかそ…

シートン動物記 アーネスト・トンプソン・シートン

アーネスト・トンプソン・シートンは、九百年代半ばに没した博物学者。自然を愛し、動物に魅入られ、書いた動物の物語が全米で大ヒットすることで一躍有名になった人物です。 その著書が日本に渡り、翻訳され出版されたのが『シートン動…

69 sixty nine 村上龍

村上龍の「69 sixty nine」には村上龍の実体験を元にした青春活劇が描かれています。 若い頃の村上龍をモデルとしたと思える主人公は非常に鼻持ちならぬ人物で、非常にユーモアに溢れています。 女の子の気を引くためだけ…