ガソリン生活 伊坂幸太郎

宮城県に住む望月兄弟がある女性を偶然乗せた事から始まるストーリー。ちょっとプリンセスオブウェールズ的な風味あり。

ちょっと変わっているのはこの物語がひたすら望月家の自家用車である緑色のデミオ目線で話が進むことだ。この物語の中の世界では自動車たちは排ガスが届く範囲でお互いに会話し合っているというのだ。

車たちはショッピングセンターに駐車しているときも各々の車が他の車と会話を楽しんでいるという。

そもそも車というものは昔から心を持っているのではないか?などと想像されることが多々あります。人間のよき手足となって移動を助けるだけではなく、持ち主のキャラクターが車に投影されたり、車のイメージが持ち主に重なったりする面白い道具だと思います。

ディズニーのカーズは車そのものを擬人化したが、この物語はどちらかというと、さらに昔のディズニー作品のハービーに近いのかも。(ただし勝手に走ったり、嫌いな人にオイルをかけたりはしないが)

自動車の気持ち(?)について細かい描写が面白いし、理屈っぽく考えてもなかなか破綻がないところは感心しました。

同じメーカの車には親しみを覚えてしまったり、同じモデル同士なら深い会話をしてみたり、或いはオーナー家族を贔屓目にみたり・・・本当に人間くさいというか、私たち車好きが「車がそんな風だったらいいな」という想いを表現しています。

クルマが好きな人が読むとたぶん2倍楽しめるだろうし、車に興味がなくても普段運転したことがある人ならきっと楽しめるはず。