一日江戸人 杉浦日向子

カテゴリ:歴史・自伝 本の著者:

江戸っ子という言葉は有名ですが、実際に江戸時代に何人くらいいたのか。江戸時代のトップといえば将軍様ですが、具体的に毎日どうやって暮らしていたか。また、江戸の庶民は月に何日働いていくら稼げば生きていけたのか。
この本にはそういった、聞いたことがあってなんとなくイメージしているが、実はほとんど知られていない江戸時代の人々の暮らしぶりについて、可愛らしいイラスト付きで詳細に描かれています。
作者である漫画家の杉浦日向子さんは、若くして亡くなられてしまいましたが、江戸時代評論家としてよくテレビ等出演していたので、ある年齢層以上の人なら見たことがあるのではないでしょうか。
入門編から上級編まで、先ほどのようなちょっとした小ネタについて史実に基づいてわかりやすく解説してあり、この本さえ読んでいれば明日から江戸で暮らすことも可能なのでは、という気さえします。
現代社会では、エネルギーの再利用やエコについて、その重要性が叫ばれていますが、実は江戸時代こそ究極のエコ社会だったことがよく分かります。限りある少ないエネルギーをみんなでわけあわないと生きていけない社会。でもそこに悲愴感はなく、明るく活力に満ちている。もちろん病気や火事、自然災害時の被害等、今より大変なこともたくさんあったんでしょうが、現代社会が目指すべき理想的な生活は何かについて、江戸時代は有益なヒントを数多く与えてくれる。楽しく読んでいるうちに、そんなことに思い至るようになる、味わい深い一冊です。

良い書評でしたら共有お願いします

関連書評

鮨水谷の悦楽 早川光

鮨水谷の悦楽は鮨水谷の一年を通して江戸前鮨について考察する一冊です。味覚というのは人それぞれで感じ方

記事を読む

スティーブ・ジョブズ・ストーリー (ラダーシリーズ) トム・クリスチャン

「英語の本で自分の興味テーマのものはないかなぁ?」と思っていた時に吉祥寺の本屋でこの本を発見しました

記事を読む

宇宙飛行士に学ぶ心の鍛え方 古川聡

第28次/29次のISS(国際宇宙ステーション)長期滞在した宇宙飛行士:古川聡さん著の本書。宇宙飛行

記事を読む

神聖喜劇 大西巨人

大西巨人著『神聖喜劇』は日本の純文学を代表する傑作です。保坂和志や奥泉光、阿部和重といった作家から柄

記事を読む

密告者ステラ ~ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女 ピーター・ワイデン

ピーター・ワイデン著者「密告者ステラ ~ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女」はヒトラー支配下のドイツに

記事を読む

月間人気書評ランキング

既知からの自由 ジッドゥ・クリシュナムルティ

簡単に言えばこの本には真理が書かれています。それは痛快なまでに真実なの

学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶応大学に現役合格した話 坪田信貴

この本は学年でビリで偏差値が30以下のギャルが進学が危うい状態だったの

甲賀忍法帖 山田風太郎

山田風太郎氏のいわゆる「忍法帖」シリーズの第一作目です。深く考えずに読

孤島の鬼 江戸川乱歩

江戸川乱歩は非常に著名な作家で、名前を聞いたこともない、という方は少な

阪急電車 有川浩

図書館戦争で有名な有川浩の作品です。 阪急電車。近畿圏内の方しか

→もっと見る

PAGE TOP ↑