パチプロ日記 田山幸憲

今はやっていませんが、昔はパチンコを打っていました。その当時読んでいた雑誌に連載されていた、その世界では有名な(有名だった)パチプロの日記形式の実践記です。もうかなり昔の本ですから、登場する機種を知らない人も多いと思います。

この本の著者の田山幸憲氏は、東大を中退してパチプロになった変わり者で、見た目も全然いわゆるパチプロっぽくないです。といって、サラリーマンにも見えませんが。小柄で痩せ型の、文学青年が年をとったような風貌をしています。性格もおとなしく、とてもそんなヤクザな稼業の人間とは思えません。ただ、大学時代にパチンコにハマって、舌癌でこの世を去るまで、ずっとパチンコ一本で食っていた凄腕の持ち主です。とはいえガッツリ稼ぐタイプではないので、日記を見る限りではあまり余裕のある暮らしぶりではありませんが。
この本で面白いのは、今や完全に失われてしまった、昔のパチンコ文化が残っているところ。毎日釘を開け閉めする店があり、それを読んで勝負する。そんなに大きくは勝てなくても、買った金で友人達と飲みに行き(ただし女性はほとんど登場しない)、週末には競輪で負ける。そんな日々の繰り返しが描かれています。

またこの田山プロ、技術は確かでも理論は怪しげなのが魅力的。ギャンブル用語でいうところのオカルトというやつを信じています。まあ、素人でギャンブル好きな人は大抵何らかのオカルト理論を持っていますが、今のパチンコ業界ではプロっぽい人はガッチガチの理論派ばかり。こういうタイプのプロはほとんどいません。田山プロが亡くなった時に、1つのパチンコ文化が終わったと言われたのもうなずけます。

パチンコが今ほどギャンブル性が高くなく、町に普通に溶け込んでいる気楽な娯楽施設だった頃の、最後の息吹が感じられる本になっています。