ゴーストハント 小野不由美

カテゴリ:小説・文芸 本の著者:

私が近頃読んだ中で最も面白いと感じたのは、屍鬼、十二国記シリーズ等で有名な小野不由美の作品、『ゴーストハント』。全七巻のシリーズもので、ジャンルはホラー。超常現象専門の探偵事務所のようなものに属する主人公たちが、依頼された怪異の謎を解いていく、いわばオカルトを題材にした探偵モノです。
と、粗筋だけ書くとどうしても突拍子のないコミカルさを感じてしまうのですが、この作品のキモは、何といっても妙な“リアルさ”。主人公の上司は探偵であると同時に科学者でもあり、超常現象を観測するためにカメラやサーモグラフィーを持ち込み異常がないか常に監視し続ける、足を使って地道に聞き込みを続け情報を集めていく等、オカルトへの切り込み方がとにかく現実的。いかな時点でそれを超常現象と呼ぶのか、もしそうだとしたらどうやって対処すればいいのか。呪い、幽霊、超能力、妖怪等々、不気味な超常現象を扱った作品は古今東西ありますが、この作品は設定がとても練り込まれていて、それらの胡散臭い要素の描写がとにかく具体的かつ説得力を持っているんです。

もちろん読者を震え上がらせるホラーとしても一級品。登場人物は愛嬌のある人物ばかりで、人間ドラマとして読んでも十分楽しめます。今は別レーベルでリライトされて発刊されていますが、元々はティーンズ向け文庫から出されていたということで、方々に専門的なウンチクが挟まれる割には小難しすぎることもなく、すらすらと楽しく読めてしまうのも魅力的。
しかし何より、オカルトを信じない私にも、「幽霊も超能力もホントにあるのかも」と思わせてくれる世界観に浸れること。それが私にとって、本書一番の魅力でした。

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