親戚が管理する廃ホテルで感じた恐怖

7年前、私がまだ大学生だったころの心霊体験です。地元の山の中腹にある廃ホテルで感じた心霊体験になります。

入山規制が解除され、日が長くなってきたと感じるようになった季節のことです。私の親戚が管理をしている廃ホテルに肝試しとして入ることが許されたことをきっかけに、仲間と4人で潜入を試みることになりました。最初は短い青春時代の1コマにすぎないと、軽く考えていたのでしょう。それが後に後悔の日々を余儀なくされることなど知らないまま、私たちはナイトクラブの中を当てもなく移動する酔っぱらいのような足取りで朽ちかけている廃墟に足を進めることになります。

腕っ節には自信がある屈強な体を持つ4人ですから、闇の中でスマートフォンの明かりだけが頼りという状況でも私たちを止められる者などいやしないと、確信していました。単身赴任のサラリーマンが不本意ながら生活をしなければならないような、一般的なアパートよりも2階層ほど多くの空間がある建物は目立つピンク色の外装が特徴的です。内部はきっと遊び心に溢れている、そのように断定をするにはそれが十分すぎるほどの情報でした。かつて暇そうな受付人が娯楽研究のために読む新聞に目を通していたであろう、2畳ほどの空間の入り口を確認することになります。そこへ入ったら廃墟の住人に取り込まれてしまうのではないか、その場所で1度目に感じた恐怖です。言葉を発せずとも、その場の全員の心の中が透けて見えるようでした。

少しばかり厄介な空間に身を投じてしまったと後悔しかけた矢先、その直感がより正確なものであるとしか思えない光景が視神経を通して脳へ伝えられることになります。いつも徹夜で麻雀に興じているスペースと同程度の階層へ赴くことを決意したことを後悔した瞬間でもありました。純白の花びらが、どんなに無教養な人物でもはっきりと理解できるほどまでに死者への敬意を示しているように見えます。青春と名のついた荒波に抗いきれず、志半ばで夢破れ私の右隣に立ちすくんでいた生ける屍が一番に動き出しました。自暴自棄、そんな言葉がよく似合う男です。怖いものなど無い、楽に行こうと背中で語っているように見えました。彼は鈍い音とともに私たちの視界から外れました。

すでに階段は腐っており、母からはぐれた子猫が彼と同様の意思を持ったとしても結果は同じだったことでしょう。「立ち去れ」廃ホテルが示す最初で最後の優しさでした。愚かなことをしてしまったものだと、今でもあの頃の恐怖が身を凍りつかせるような感覚に苦しめられます。

広告

関連記事

病院の窓から見えた武者行列

これは私が京都のとある総合病院で体験したできごとです。 当時、入院患者が200名程度の中規模病院で

記事を読む

小学生の頃に、山のお寺で体験した怪異

私がまだ小学生の頃でした。 6年生の夏休みに同い年くらいの従兄弟なども4人ほど集まり、祖父母に連れ

記事を読む

金縛りに合ったのでふと見ると

この体験は、私が18歳の冬、大学受験もいよいよ目前に迫って毎日勉強漬けの日々を送っていたときの話です

記事を読む

団地の踊り場で見えた、小さな女の子

前田敦子さん・成宮寛貴さんが主演をしていたホラー映画「クロユリ団地」という映画が話題になりましたが、

記事を読む

携帯電話に写った怪しい手

今でも結局はただの偶然だったのか、お節介だったのか、そもそも心霊現象であったのかすら分かりませんが、

記事を読む

机の中にあった手掻と、夢の中に出てきた顔

もう、7年ほど前になる2月の冬の事です。 親戚の若い男の子が、20代の若さで自殺をしてしまいました

記事を読む

心霊現象体験 階段を上ってくる者

私は子供の頃、築30年は経つだろう木造の1戸建ての家に住んでいました。 古い家なので壁や天井の

記事を読む

死後の世界を霊に聞いたら驚くべき答えが返ってきた

死後の世界は実際に死んでみないとわからないので別に深く考えたことはありませんでした。子供の頃はよく金

記事を読む

写真を撮ったら叔父の顔だけが無くなっていた

私は、子供の頃祖母と同居していました。 祖母は、母の母親です。 我が家に同居する前には、母の兄の

記事を読む

心霊スポットで有名なトンネルの中でみたものとは

これは、私が大学生の時の恐怖体験です。 当時入っていたサークルの親しい仲間と人でドライブに出かけま

記事を読む

広告

事故死の老婆

これは、私の知人Tさんが10年ほど前に体験したお話です。 その日

丑の刻参り

忘れもしません、あれは中学2年の夏のことでした。 当時仲の良かっ

知人の妹が死んだ時間に首が外れてしまう

中学生の時の話です。小学生の頃からちょっとした霊感はありましたが、まさ

信州のお墓隣接したホテルでの出来事

もう20年前のお話しです。 当時働いていた会社で信州に新しく支店を作

ダムに身投げをした少女の霊

私が大学時代の話です。 時期は2000年ごろの夏だったと思います。

→もっと見る

広告

  • にほんブログ村 哲学・思想ブログ 心霊・怪談へ

PAGE TOP ↑