誰もいない納骨堂で聞こえたおりんの音

10年前の怖かった体験です。

私の実家の墓所は関東の公園墓地で、いつでもきれいに整備されているのでお墓参りもピクニック気分で散策できるような環境です。

一方、夫の実家の墓所は豪雪地帯ということもあり、屋内の広大な納骨堂です。
比較的新しいこともあり、建物自体はピカピカで悪天候でも夜でもお参りが可能なのが姑の自慢です。

12年前、舅が亡くなり初めて足を踏み入れた時、草むしりなどの手間も不要で便利だと思う反面、狭い間口に3~4段ずつ折り重なる仏壇に圧迫感がありました。

空が無い、空気の流れが無いことで、閉塞感と淀みを感じ、何だか嫌だなあと思いましたが、もちろん口には出せません。

そして問題の日、慌しい日程での帰省の最後の夕方、夫と私の2人で納骨堂にお参りにでかけました。

受付の方に「他に誰もいらっしゃらないので、電気をつけて入ってください。」と言われ、スイッチの場所を教えていただいき中に入りました。
相変わらず私は嫌な感じが拭えませんでしたが、夫に言うわけにもいかずお線香を上げて手を合わせていると、突然、別の列の方からチーンというおりんの音が響きます。
さらに裸足で歩き回るようなピタピタした足音まで聞こえます。

その段階で私はブルブルと震えが来ていましたが、夫は誰か他の人もお参りにみえたのだろうと気にしません。

気になるけれども一人になるのも怖い、でも確めずにはいられない。
誰かいてくれと祈りながら夫にすがり音のした方を見に行きましたが誰もいませんでした。

そして今度はまた、違う列の方でチーンという音とピタピタと足音がします。

さすがに夫も顔面蒼白になり、それからはどうやってろうそくの火を消したかも覚えていないほど大慌てで退散しました。

念のため受付で私たちの他に誰か来たかどうか聞いてみましたが、やはりどなたも来ていないという返事でした。

受付の方は私たちの話を聞いてもさほど驚いた様子も無く、時々あることだと平然としていましたが、私達はたとえ夫のご先祖様だったとしても怖さに変わりがありません。

そのことがあって以来はお彼岸やお盆など人がたくさん集まる時以外はお参りをしないようにしています。

死んでしまえばただの骨だと思う反面、いつか私もあの納骨堂に入るのかと思うと何だか息苦しく感じることもあります。
ピタピタと足音をたてながらおりんを鳴らしていたのはどんな意味があったのかはわかりませんが、思い出すたびに私の骨は海に散骨して貰いたい気持ちが高まります。

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