祖母が母にお別れを言いに来たのでしょう

私が中学生の時ですから、今から35年も前のことになります。
母方の祖母が亡くなりました。
母は滅多に実家に帰らない人だったので、この祖母とは左程親しくはありませんでしたが、遊んだことなど思い出し、
悲しくなりました。
お棺の中の祖母は、穏やかな顔で横たわっていたことを覚えています。

それから2か月程経った頃でしょうか。
私達家族は春休みを利用して九州へ旅行に行きました。
最初の1日は父が休みを取れなかったので、母と私と姉の3人でした。

新幹線で九州に入り、夕方長崎の観光案内所で翌日乗る予定の観光バスについて、母が尋ねていました。
その時はもう5時だったので、観光案内所も閉める支度をしているようでした。
案内所は、カウンターを隔ててお客さんと所員が話をするような作りになっていましたが、カウンターにいたのは
50歳位の女の人だけで、カウンターの奥の方で制服を着た6,7人の所員の人達がいましたが、誰もこちらを見ませんでした。
奥の方の若い所員達が笑いながら話しているのと、カウンターに座っていた女性の落ち着いた態度が対照的だったのを覚えて
います。
しかし、それよりその女性を見た途端、私は声も出ずにまじまじとその顔を見つめてしまいました。

母は、既に閉めかけているところを悪いと思ったのか、早口で観光バスはどこから乗るかとか、予約は要るのか等を聞いてい
ます。
それに対し、カウンターの女性はゆったりとした態度で、母の顔をじ・・・っと見つめながらゆっくりした口調で答えていま
した。
話が済むと、母はお礼を言ってそそくさと観光案内所を出てしまいました。

出た途端、私は母に
「今の人、おばあちゃんにそっくりだったね」
と言いました。
すると、母を挟んで向こう側にいた姉も
「そうよね。私もそう思った!」
と言います。
それ程先程の女性は祖母によく似ていました。

祖母の髪を黒くして伸ばしただけで、顔はどう見ても祖母そのものだったのです。
ところが母は、「そう?」と全くそう思わなかったようで、今思うと笑えるのですが、その時はガッカリしました。
その夜、私は宿の布団の中で1人、涙が止まりませんでした。

丁度四十五日の頃だったので、祖母は母にお別れを言いに来たのではないかと思ったからです。

末っ子でありながら、そして隣の県にいるのに、父方の祖母と同居していた母は4,5年に一度しか実家に帰りません
でした。
結婚してからはなかなか会えなかった末娘を心配して、祖母が出てきたように思えて仕方なかったのです。

私や姉より、母の方が祖母をよく知っている訳で、その母が感じなかったということは、私達の思い込みかもしれません。
しかし、あの観光案内所で、何故あの女性だけは制服を着ず、黒いセーター姿だったのでしょう?
そして、他の所員たちは何故私達入っていっても気づかなかったのでしょう?
目すらこちらに向ける人は1人もいず、あちらとこちらで世界が違うようなおかしな感覚があったのです。
そして、あの女性は、何故あんなに母の顔を穴のあくほど見つめていたのでしょう?

私にはどうしても祖母が母に、お別れを言いに出てきたとしか思えないのです。

広告

関連記事

実家の奇妙な出来事

私の実家は昔から奇妙な事が起きる家です。 実家は山の一部を削った土地に建っており、家の隣には残りの

記事を読む

おばあちゃんが亡くなってから霊が見え始めました

私の心霊系という話には少し違うかもしれませんが、私は3年前に大好きだった祖母が亡くなりました。 そ

記事を読む

幼い私だけがみた、おじさんの最後の姿

私が幼い頃の話です。 幼すぎて、自分が何歳だったかは不明ですが、 たぶん3,4歳、幼稚園に入る直

記事を読む

亡くなった父の訪問

私が3人目の赤ちゃんを妊娠し6か月目の頃、突然出血してしまい早産の危険があるため仕事を休むことになり

記事を読む

果物と亡くなったおじいさん

これは、つい最近のお話になります。私と私の霊能力がある友人は、口コミで霊的な相談に乗っています。

記事を読む

死んでしまった文鳥の夢

もう今から十年以上も前の話ですが、私は嫁と話し合って、鳥をペットとして飼うことにしました。最初はイン

記事を読む

娘だけが見える男の子

始めに、娘にもしかしたら霊感があるのでは?と感じたことから話したいと思います。 今から4年くら

記事を読む

祖母が私を呼んでいる

今から3年くらい前に体験した奇妙な出来ごとをお話します。 良くテレビの心霊体験などを見ても「ほ

記事を読む

午前2時 天窓から射した謎の明かり

それは私が中学生の頃のことでした。 夜もう寝ていたのですが、何故かふと目が覚めました。 そして雨

記事を読む

2度出現した煙のようなものの正体

父は6年前に2度目の脳梗塞を起こし、要介護3の介護生活となり、3年間の介護生活をすごし3年前に85才

記事を読む

広告

事故死の老婆

これは、私の知人Tさんが10年ほど前に体験したお話です。 その日

丑の刻参り

忘れもしません、あれは中学2年の夏のことでした。 当時仲の良かっ

知人の妹が死んだ時間に首が外れてしまう

中学生の時の話です。小学生の頃からちょっとした霊感はありましたが、まさ

信州のお墓隣接したホテルでの出来事

もう20年前のお話しです。 当時働いていた会社で信州に新しく支店を作

ダムに身投げをした少女の霊

私が大学時代の話です。 時期は2000年ごろの夏だったと思います。

→もっと見る

広告

  • にほんブログ村 哲学・思想ブログ 心霊・怪談へ

PAGE TOP ↑