姉をあの世へ連れて行こうとした祖母

私が高校生の時、父方の祖母が亡くなりました。
もう30年以上前の話になります。

祖母は今で言う認知症を早くから患い、最後は病院に3年程入院して亡くなりました。
ですから、私がお見舞いに行っても、
「あなたは〇〇さんのお嬢さんだわね」
と、私が孫であることもわからなくなっていました。

父がある日、お見舞いに行き、家に帰った所へ病院から電話があり、祖母が亡くなったと言われました。
父は母と共に、2つ離れた県にある病院へ取って返すことになりました。
その夜、両親は病院で祖母のベッドの横でお経を上げて過ごしたそうです。
祖母の身体からは、一晩で布団がぐっしょりと濡れる程、水分が出たと聞きました。

葬儀も終わり、やっと日常が戻ってきた頃、姉がよく夢でうなされました。
その頃、姉と私は幼い頃のようにベッドを並べて同じ部屋で寝ていたので、姉がうなされるとすぐに私が揺り起こしました。
姉がうなされるのは、夢に亡くなった祖母が出てきて、腕を引っ張ったり、又は姉が祖母の家の前を通り過ぎて我が家へ向かっていると、急に祖母の家の戸が開いて、引き込まれそうになったりするという夢だったのです。

時には顔つきも変えた姉が私にしがみつき、
「腕が痛い。ここをおばあちゃんが引っ張ったの」
と、腕を指さしながら泣きそうな声で訴えたこともありました。
夜、暗い中で聞いている私も怖かったので、思わず空中をにらんで
「おばあちゃん、お姉さんをあの世へ連れていっちゃダメよ!」
と心の中で叫んだこともありました。
また、その頃、嫁である母も、祖母が粗末な着物を着て戻ってきた夢を見て、夢の中で祖母の着物を着せたそうです。
既に祖母の着物は形見分けしていたので、それが気に入らなかったのでしょうか?

実は、姉は祖母にとって初孫では無かったのですが、孫の中で唯一可愛がった子だったのです。
あまりに甘やかすので、これでは子供の為に良くないと一時父が別居した程だというのですから、それこそ目に入れても痛くない程可愛かったのでしょう。
それで、姉の夢に出てきたと考えられます。
姉が祖母の夢を見たのでは無く、やはり祖母が姉を恋しく思って出てきたように私には思えました。

祖母はボケたまま逝ったので、自分が死んだことがわかっていなかったのではないかと、今は思います。
事情を父に話すと、お経を上げて供養しようと言いました。
父は長男では無いので、家に仏壇はありませんでしたが、祖父母の写真や戒名を書いた紙が祀られている場所を設けてあるので、その前で家族4人でテープに合わせてお経を上げました。
これを何回か行うと、姉も夢にうなされなくなりました。

死んでも、死んだことに気付かない人は多いとも聞きます。
行くべきところへ行ってもらう為にも、供養は大切なのだなと思った出来事でもありました。

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