宇宙飛行士に学ぶ心の鍛え方 古川聡

カテゴリ:人文・思想, 歴史・自伝 本の著者:

第28次/29次のISS(国際宇宙ステーション)長期滞在した宇宙飛行士:古川聡さん著の本書。宇宙飛行士としての心の鍛え方について詳しく書かれております。
 心の鍛え方って宇宙飛行士の場合は何か特別なことをしているんだろうな…そう予想して読み始めたのですが、内容は予想に反しておりました。全く特別な事ってしていないんです。宇宙飛行士だけではなく、ビジネスの場でも通じることばかりが書かれているのです。コミュニケーションについて…リスク管理について…リーダーシップとフォロワーシップについてなどなど。
 読んでいて感じたのは、相手に対してどう前向きにとらえてもらうのかが大切だという事です。たとえば反対意見があった場合、「こうした方がいい!」と言い切るよりは「こういう考えはどうであろうか?」という提案をしてみるということ。こういうのって普通に日常生活でも役に立ちますよね。ビジネスの場でもそうですが、夫婦間または親子間でも本当にすぐに使えると思うんです。例えば子供に対して「片付けなさい!」ではなくて「もうそろそろおやつだから片付けたらどうだろう?」なんて使えると思います。
 リーダーシップについての記載は目から鱗でした。良いリーダーとは同時に良いフォロワーであるべきであると書かれています。自分がリーダーシップを取っている際、誰かフォロワーが困っていたとします。その時に適切に判断してさっと手を差し伸べる。これってリーダーシップではなく正にフォロワーシップそのものですよね。このような能力を鍛えるために、NASAでは過酷な状況下で何度もリーダーシップを鍛える訓練を行います。ある時は雪の降りしきる高山で。またあるときは海底に沈む狭い密封空間にて。特殊な環境下で、訓練ですから様々なトラブルが敢えて降りかかってくるのですが、それぞれがリーダーとなり、またはフォロワーとなることで、その時々の相手の気持ちをつかみ、チーム全体が上手くいくように全員のベクトルが向かっていくようになる様は、心を打たれました。
 本書は平易な表現で書かれています。人間関係に悩んだり、壁にぶつかった人なら、中学生くらいからでもすっと読むことができるかと思います。迷っている人がいたらぜひ勧めたい一冊です。

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