覆す力 森内俊之

カテゴリ:歴史・自伝 本の著者:

棋士として著名な森内俊之永世名人が書いた自伝的要素の強い内容となっています。タイトルは「覆す力」となっていますが、正直、覆すというよりは自分を見つけ、順応し、そして開花させる力について書かれているように感じました。

 将棋のタイトル戦はそれぞれに特色があります。長考ができる試合、早指しで行かないといけない試合…。タイトル戦に挑むことで、自分が長考に向いていると悟ってからの森内さんの気づきがとても明快に描かれています。そして向いていることについてもっと研究し、強くなっていこうとする努力を感じることが出来ました。結局、自分が何たるかを知るということが自分の成長へと繋いでいったのです。

 そんな森内氏も若い頃は大いに悩んだようです。将棋も好きだけれどある程度までで天井にぶつかってしまう。対局で負けてしまって悔しくて、スーツ姿で10キロ以上もランニングしながら家に帰った事も。大学生の年齢になった時、大学生活にあこがれ、クイズの同好会に参加をしたり、アタック25へチャレンジをしてみたり…。回り道を回りまわってやっとたどり着いたという感じがご本人はするようです。でもこれは決して無駄ではなかったようです。そのような回り道があったからこそ、自分が何たるかについて役だったようです。
 さてさて、本書は森内氏のこれまでについて多く書かれていますが、他に楽しみ方が。よく森内さんはネットでネタにされていますよね。対局ではカレーを必ず食べるなど。その理由も書かれていますので、ネタバレ的な物もお楽しみとして読んでみるといいかと思います。

 もう一つ本書の楽しみ方があります。それは羽生善治氏について知ることができるということ。小学生の時から対局し続けてきた羽生氏について詳しく書かれているのです。初めて対局したときの事、ずっと先に行ってしまった高校時代、やっと背中が見え始めた30代。それぞれの年代での羽生氏について描かれています。森内氏のファンだけではなく、羽生氏のファンにとっても興味深い一冊なのではないかと思います。

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