小さいおうち 中島京子

カテゴリ:小説・文芸 本の著者:

先に映画をみたあとに、色々出てきた疑問を解消するべく原作本をよむことにしました。昭和初期の戦前~戦後直後までのとある東京郊外
にある「赤い屋根の小さいおうち」での生活が、当時女中をしていたタキばあちゃんの回顧録として明かされていきます。
そして回顧録を読んだ甥の息子の手によって現代につながり「小さなおうち」で起こった謎も解かれていきます。

まず事前に映画を観てしまっていたので大まかな流れはすでにわかっており、ラストもわかってはいましたが原作に力があるのでしょう、
ここは知ってる、と飛ばし読みすることなく読み終えることが出来ました。
正直、原作の方が素晴らしいです(まぁ素晴らしいから映画になったのでしょうが)でも映画を観てからなので登場人物が鮮やかにイメージできながら
読み進むことができたのも事実です。特に黒木華さんは原作のイメージ通りでした。

昭和の初めの東京がこんなに粋でオシャレな街であったとは驚きです。みんなモンペに竹やりというイメージでしたから。「奥様」は綺麗でセンスの良いものが
大好きでクラシックや劇が大好きで本人自身も人を惹きつける魅力がいっぱいの人だったのでしょう、タキさんは崇拝に近いものを抱いています。
回顧録の中でも「奥様」の事ばかりで「旦那様」の存在があまり感じられないほどです。
確かに一日中一緒にいるのは「奥様」「ぼっちゃん」かもしれませんが、田舎から出てきたタキさんにとって「奥様」は憧れの都会の象徴でもあったのかもしれないなと思いました。

そんな「奥様」が不倫をしてしまう…当時は犯罪です。秘密にしなければならないのに、周りには少しずつ噂も立ち始め、女中としてタキさんが取った行動が以後何十年と彼女に罪の意識としてのしかかり続けます。
タキさんが亡くなった後に、甥の息子によって何をしたのかがわかりますが、私はそこまで罪に感じなくても…と思いました。結果は変わらなかった訳ですし。

この「小さいおうち」は本編も面白いですが出てくる御飯やおかずがとても魅力的に書かれていてそこも読んでて楽しくなる要素の1つだと思います

文章も読みやすく、当時の人々が生き生きと描かれていて私はとてもおすすめな本だと思います。読んだ後に映画を観た方が楽しめるんじゃないかな…と思います。

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