空の中 有川浩

カテゴリ:小説・文芸 本の著者:

最近読んだ中で、有川浩の初期の作品、自衛隊三部作と呼ばれている中の一冊、「空の中」が楽しめました。

SFのジャンルとして言えば、未知の生物とのファースト・コンタクトものということになるのでしょうか。「白鯨」と呼ばれることになる空に浮かぶ知的生命体と人類とのコミュニケーションの話とも言えます。

原因不明の航空機事故の調査を担当することになったメーカーの担当者と、航空自衛隊の女性自衛官。そして、事故死してしまった自衛隊パイロットの息子である高校生と、その幼なじみである女子高生の四人を中心として、物語は進みます。

舞台としては、事故調査委員会を中心とした自衛隊岐阜基地、高校生二人を中心とした高知の仁淀川の二つです。そこに航空機事故の原因となった白鯨と呼ばれる生命体が関わってきます。事故調査委員会は「ディック」と呼ばれる「白鯨」とコンタクトを取ることに成功し、仁淀川の高校生は謎の生命体に「フェイク」と名付け飼育することになります。
「白鯨」とは通信に用いられる電波を通じてコミュニケーションを取ることができ、徐々に日本語も学習していきます。そして最終的に、白鯨と人間は対立し、衝突してしまうことになってしまうのです。

この著者の作品は取っつきやすく、すらすらと読めるので気分転換に読むことが多かったのですが、この作品は意外とボリュームがありちょっと手こずりました。

ご存知の方も多いと思いますが、有川作品はストレートでどちらかと言えば甘めの恋愛ものが多いのですが、「空の中」はSF色の強い物語でした。恋愛をメーンとした作品も悪くはないのですが、ちょっと甘ったるすぎて気恥ずかしいと思ってしまうことが多々あったので、これくらいSF色強いものほうが楽しめます。

メーンの登場人物である四人のキャラクターは少し類型的すぎるような気もしてしまいますが、高知に住む漁師の老人「宮じい」がいい味を出しています。その宮じいのことを中心に描いた「仁淀川の神様」という後日談も収められています。

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