天命つきるその日まで アンパンマン生みの親の老い案内 やなせたかし

カテゴリ:歴史・自伝 本の著者:

アンパンマンの作者でお馴染みのやなせたかしさんのエッセイで、93歳のときに執筆された本です。
主にやなせさんが「老い」とどう向き合っているかが書かれています。

 やなせさんの作品が世に出始めたのは還暦を過ぎたあたりから。
その頃から急に仕事が増えだし、やなせさん曰く、「予想外の展開」です。
そして年を取れば取るほど、普通の人が生活落ち着いていくのとは逆にやなせさんの生活はどんどんにぎやかになっていきます。
間に何度も大病を患い死の淵を彷徨う経験をしたこともあって、やなせさんはいい意味で生きることに固執します。
いつまでも元気にアンパンマンを描き続けたいと願うのです。

 そんなやなせさんが描くエッセイですから、とても文章が生き生きとしいて、「老い」に対してもユーモアたっぷりです。
93歳ですから、体なんかはボロボロで日常生活も苦労したりします。
そんなことも笑いに変えてしまうのです。

 老人というとどうしても元気がなく、どんよりした、人生の終末を迎える悲壮感が漂っているイメージを持ってしまいます。
私はときどきふと自分が年老いたらどうなるのかと想像しては、前途の無さに絶望してしまいます。
明るい老後のイメージは無いものかと思い手に取ったのがこの本です。
確かに人は老いる。

でも、老人になったからと言って何かを諦める必要はないんです。
命も生きがいも。どれも死の間際だって持っていられることができるんです。
そう考えると死も生と続いている、そんな新しいイメージがこの本を読んで私の中に沸き起こりました。

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