ステップファザー・ステップ 宮部みゆき

カテゴリ:小説・文芸 本の著者:

最初は有名作家の宮部みゆきさんの作品とは知らず、表紙の裏に書かれてあるあらすじに惹かれて、面白そうだから買ってみようと、そんな気軽な気持ちで手にした本でした。

内容は中学生の双子の隣の家に泥棒に入った男が、不運にも落ちて来た雷のせいで、双子の家に落ちたことから物語は始まります。

双子にはもちろん両親がいるのですが、驚くことに両親揃って別の相手と駆け落ちしてしまい、家には双子だけが残されていました。
そこへ落ちてきたのが雷に落とされた泥棒の男。
双子はこの男を、両親がいないことを知られたくないために、大人がいなければ不都合なことに利用しようとします。
男を警察に突き出さない代わりに・・・

中学生の頃は両親がいなければ、自由に何でもできるイメージがありました。
でもこの小説を読むと、子供が大人と一緒にいないことはとても不自然なのだなと痛感しました。
だから泥棒の男でも、利用しようとする双子のしたたかさに納得したものです。

物語は一話完結型で、合計七話収録されています。

一話、二話と読み進め、双子と男が事件を解決したり事件に巻き込まれたりと、騒動を重ねるうちに、双子と男の間に「絆」のようなものが生まれます。
駆け落ちした両親のどちらかが帰ってくれば、終わってしまう儚い「絆」に、新たな章を読む度に親は帰って来なくていいよ、なんて思っていました。

有り得ない設定ではあるけれど、現代社会を見れば、有り得なくもないかなと思えてしまいます。
でも、雷に落とされて現れた救いの大人が、泥棒だけれど鼠小僧のような義賊という幸福はなかなかないところに小説の面白味があり、そして一緒に事件を解決したり巻き込まれて救われたりする双子に、純粋にうらやましさと憧れを抱きました。

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