ぼくのメジャースプーン 辻村深月

カテゴリ:小説・文芸 本の著者:

これは私の一番大切な本です。
簡単に、好きな本、と言ってしまうにはテーマが重くて、考えさせられるストーリーです。
でも、主人公が小学校4年生ということもあり、文章自体は平易で読み進めやすいと思います。
深く考えさせられ、読んだ後に胸にずっしりと残るものがあり、けれど重いだけではなく最後には希望と暖かさもあります。
友達に「何かおすすめの本ない?」と聞かれたときにはいつもこの本を教えます。
(勝手にプレゼントしたことも4回程あります…)

テーマはズバリ、「罪と罰」。
小学校に侵入した人物がウサギを惨殺し、居合わせた少女から声を奪いました。
主人公の少年には特殊な能力があり、犯人を一度だけ操ることができます。
ウサギを殺すことを何とも思っていない非道な犯人に、一体何をさせたら、どんな目にあわせたら、許すことが出来るでしょうか。
亡くなったウサギは二度と戻ってこないし、ショックで声を無くし心を閉ざした大切な友達はもう笑顔を見せてくれません。
それでも、自分にある能力を使って、どうにかしたいという少年の想いが痛いほど伝わります。

罪とは何か、罰とは何か、ということを改めて深く考えさせられました。
罪を罪とも思ってない人間に、罰だけ与えてそれを受けさせても、意味があるのだろうかとか、失ったものを取り戻せるわけではないのに、それをすることは正義なのか自己満足なのかとか・・・
主人公は主人公なりに一つの答えを出しますが、正しい答えなんてきっと無くて、誰もがそれぞれに考え続けていかなくてはならない問題なのではないかと思います。

また、心を閉ざしてしまうことになった少女が、もともとはどんな子だったのかの描写が素晴らしいです。
ただの「可愛くて可哀想なヒロイン」なんかではない、とても魅力的で生き生きとした、ちょっと風変わりな女の子がそこにはいます。
彼女の素敵なところがとてもよくわかるからこそ余計に、後半のふさぎ込んだ様子がつらくて、主人公とともに、彼女の笑顔を取り戻したいと切に願いながら読み進めることが出来ました。

単純なハッピーエンドではないけれど、心に残るしっかりとした小説を読みたい人に、おススメしたい物語です。

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